部下との面談〈事前準備と心構え編〉―何を話すか迷わなくなるヒアリングノートの作り方

コミュニケーション雑記

どーも。蔵治(Kuraji)です。

「面談前になると、何を話そうか毎回悩む」「気がついたら無難な話で終わってしまった」――そんな経験、ありませんか?

私はコールセンターの管理職として10年以上、数えきれないほど部下との面談を重ねてきました。正直に言うと、最初のころは私もそうでした。面談が終わってから「あ、あれ聞くの忘れた」と後悔したり、なんとなく雰囲気よく終わらせてしまったり。

でも、ある「ヒアリングノートの作り方」を習慣にしてから、面談の質がガラッと変わりました。この記事では、その準備術を具体的にお伝えします。

面談が「なんとなく」で終わる本当の理由

私の経験では、面談がうまくいかないときの原因は、「準備不足」よりも「準備の方向性のズレ」にあることが多くありました。

多くの管理職が面談前にやっていること――「最近の数字を確認する」「評価シートを見返す」。もちろん大切です。でも、それだけだと面談は業績レビューになってしまいます。

部下が面談に何を求めているか、考えたことはありますか?

面談を重ねてきて私が感じているのは、部下が面談で期待しているのは「自分のことを見てくれているか」という確認だ、ということです。数字の話よりも、自分の努力や悩みをちゃんとわかってもらえているか――そこに安心感を求めています。

準備すべきは「評価の根拠」ではなく、「相手への理解の深さ」なのです。

私が「3つのメモ」を書くようになったきっかけ

実は、これからお伝えする「3つのメモ」の習慣は、ある失敗から生まれました。

面談では、部下の話を聞きながら、頭の中で内容を整理して進めていきます。ところが、その「整理すること」に気を取られすぎて、本来いちばん聞きたかったことを、聞きそびれてしまう――そんなことが、何度かありました。

特に起きやすかったのが、次の2つのタイプの部下との面談です。

  • 情報量が多い部下:話してくれる内容が豊富である反面、傾聴姿勢で受け止めていると、整理が追いつかなくなる
  • 悩みやストレスを多く抱えている部下:話を前に進めようとしても、会話がまた悩みやストレスの原因に戻ってしまい、整理に追われる

聞きそびれたことに気づいたときは、面談後に個別に声をかけてフォローしていました。でも、それは本来なら一度の面談で済んだはずのこと。部下にも二度手間をかけてしまいます。

「その場の整理」に飲み込まれないためには、聞きたいことを事前に決めておくしかない――そう痛感して始めたのが、次にお伝えする「3つのメモ」です。

面談前日に作る「3つのメモ」

私が実践している準備は、面談の前日までに「3つのメモ」を書くだけです。手帳やノート、スマホのメモでも構いません。

① 最近の「変化」を1つ書く

先月と比べて何か変わったことはないか。直近の勤怠、仕事の取り組み方、表情、言葉のトーン、周囲への接し方。数字ではなく、行動や雰囲気の変化に注目します。

「最近、報告のタイミングが早くなった気がする」「会議での発言が減ったな」――そういった小さな観察で気が付いたことを書き出しておきます。少なくとも1つは書いておきます。これが面談の「つかみ」になります。

② 「聞きたいこと」と「伝えたいこと」を1つずつ書く

「聞きたいこと」は、部下が最近取り組んでいることへの疑問や関心です。「今期の目標の進捗状況はどう?」「最近、困っていることはない?」という感じで、相手のことを知りたいという姿勢で書きます。

「伝えたいこと」は、フィードバックや期待です。ここでポイントがあります。必ず「具体的なエピソード」とセットにすることです。例えばクライアントとの打ち合わせがあって堂々とした発言をしていたとしましょう。その際に「最近頑張ってるね。」ではなく、「先週のクライアントとの打ち合わせは、落ち着いて発言が出来ていたよ。すごく心強い感じがしてよかったよ。」という形にします。

③ 「次の面談までの目標」を一言で書く

今期の目標を達成するというゴールに向けて、次の面談までに達成すべき目標を設定することで、面談中の言葉の選び方が変わります。

実際にあった面談 ―目標が「ひとまとまり」になっていた部下

準備の大切さを実感した、印象に残っている面談があります。

半期(はんき)の目標設定――一年を半分に区切った、次の半期の目標を決めるための面談でした。ある程度業務に慣れてきた部下だったのですが、本人が候補として挙げてきた目標を聞くと、「年間の目標」と「もっと先の目標」が一つに混ざっていて、肝心の"短期の目標"が設定されていませんでした。

たとえば、こんな具合です。

「今年度中にクレーム発生率を前年比で10%削減したい。だからオペレーターのモニタリングを実施する」

一見、きちんとした目標に見えます。でも、これは「年間で達成したいこと」と「そのための手段」が混ざっていて、次の半期で何をどこまでやるのかが、曖昧なままでした。

そこで面談では、目標を長期・中期・短期の視点に切り分けて、一緒に考え直しました。先ほどの例なら、短期の目標はこう整理できます。

「前年比10%の削減を達成するために、オペレーターの対応音声のモニタリングとフィードバックを月に1回行う」

やることが具体的になり、いつまでに何をするかもはっきりしました。結果として、それぞれの目標が明確になり、達成につながっていきました。

この面談で私が学んだのは、「面談は、相手によって中身をカスタマイズする必要がある」ということです。同じ「目標設定の面談」でも、視点の整理が得意な部下と苦手な部下とでは、手伝うべきポイントがまったく違います。だからこそ、前日に「この人には何を聞くか」を準備しておくことが効いてくるのです。

ヒアリングノートの記入例

「3つのメモ」を実際にノートに落とすと、どんな形になるのか。私の実務経験をもとに、この記事用に書式として整理しました。先ほどの半期の目標設定面談を題材にした記入例も添えます。当時の手帳をそのまま写したものではありません。手帳でもスマホのメモでも、この5行が書ければ十分です。

参考書式

欄書くこと
面談日/相手―
① 最近の変化(1つ)数字ではなく、行動・表情・言葉のトーンの変化
② 聞きたいこと(1つ)相手を知るための問い
② 伝えたいこと(1つ)具体的なエピソード+フィードバック
③ 次の面談までの目標一言で書く
そのまま書き写して使える形にしています。右の列は「何を書くか」の説明なので、実際のノートは空欄から始めてください。ノートの隅に「話す割合は、部下7〜8/自分2〜3」と書き添えておくと、私の場合は自分が話しすぎるのを防げました。

記入例:半期の目標設定面談(前日に書く内容の例)

欄記入内容
面談日/相手○月○日/Aさん(業務にある程度慣れてきた時期)
① 最近の変化自分で考えた改善策を提案してくることが増えた。指導する面でも、方向性を示しやすい
② 聞きたいこと次の半期で、まず何から手をつけたいと考えているか
② 伝えたいこと「先週、業務中にモニタリングの提案を自分から出してくれたのが良かった。周りも動きやすくなったと思う」
③ 次の面談までの目標半期の目標を、長期・中期・短期に切り分けて言葉にできる状態にする(担当:本人/期限:次回面談まで/確認方法:本人が書いた目標を一緒に読み合わせる)

面談中に書き足した内容

前日のメモは、当日の書き足しがあって完成します。先ほどの面談を例にすると、次のように埋まります。

欄当日の記録
本人が挙げた目標今年度中にクレーム発生率を前年比で10%削減したい。だからオペレーターのモニタリングを実施する
気づいた点「年間で達成したいこと」と「そのための手段」が混ざっている。次の半期で何をどこまでやるかが抜けている
一緒に整理した短期目標前年比10%の削減を達成するために、対応音声のモニタリングとフィードバックを月に1回行う(担当:本人/期限:毎月末/確認方法:実施記録を翌月の1on1で確認)

書くときの注意

  • ①は数値だけで終わらせず、具体的な行動も記録する。「遅刻が減った」だけでなく「朝の準備を前日に済ませるようになった」まで書く
  • ②の「伝えたいこと」は、必ず具体的なエピソードとセットにする。「最近頑張ってるね」だけでは伝わらない
  • ③は一言で書く。長くすると、面談中に見返せない
  • まずは各項目を1つずつ埋めてみましょう。慣れるまでは無理に増やさないほうが、継続しやすく、面談中にも見返せます

やりがちな失敗:「伝える」ばかりで「聞く」を忘れる

管理職がやりがちな失敗が、面談を「自分が話す場」にしてしまうことです。

特に経験を積んだ管理職ほど、アドバイスや指導が先に出てしまいます。「こうしたほうがいい」「あのときはこうだった」――部下の話を聞く前に自分の話が始まってしまう。

私が目安にしているのは、話す割合を部下7~8:管理職3~2に保つことです。公的な基準があるわけではなく、自分が話しすぎていないかを確かめるための私なりの目安です。管理職は「聞き役」が基本、という考え方で運用しています。

事前に「聞きたいこと」をメモしておくと、面談中に焦って話し始めることが減ります。「まず聞こう」という気持ちで臨むだけで、部下の本音が引き出しやすくなります。

まとめ:準備は「相手を知るための時間」

面談の準備は、評価のために行う部分はありますが、ただの情報収集の場にしてはいけません。「この人のことをちゃんと見ている」という姿勢を、面談の場で自然に示すための準備です。

3つのメモは、慣れれば10分もかかりません。でも、その10分が面談の密度を大きく変えます。

次回の面談の際にヒアリングノートを準備してみてはいかがでしょうか?

それではまた!!

準備ができたら、次はいよいよ面談本番です。部下との面談〈当日の進め方編〉では、話しやすい場をつくる4つのステップを解説しています。

この記事を書いた人
蔵治 英幸

コールセンター業界で管理職として10年以上。100〜500名規模の複数現場で、スタッフ育成・1on1・面談・クレーム/カスタマーハラスメント対応・新規業務の立ち上げ・管理者マネジメントを経験してきました。記事は自身の現場経験をもとに、成功談だけでなく失敗談も含めて書いています。

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