複数名で研修を進めるときの注意点〈準備とスタンス編〉―教える内容にバラつきを出さないコツ

コミュニケーション雑記

どーも。蔵治(Kuraji)です。

新人が一度に多く入ってくるタイミングでは、複数名の講師で研修を分担するケースが多くあります。自分が今まで教えてもらって覚えてきた業務を、今度は誰かに教える立場になるわけです。

講師やトレーナーを任命されたのなら、それはあなたが評価されている証拠でもあります。ただし、複数名で教える体制には、一人で教えるときにはない独特の注意点があります。今回は、私自身の経験も交えながら、複数名の講師で研修を進めるときに気をつけたいポイントをお伝えします。

教える内容のバラつきを防ぐ「事前準備」

研修マニュアルは一本化する

教えることにバラつきが生まれないよう、研修で使用するマニュアルは内容が正しいのはもちろん、教える側全員が同じものを使いましょう。教える側がそれぞれ独自の資料を使っていると、研修内容にバラツキが生まれる原因になります。教える側の認識を揃えたうえでマニュアルを作成しましょう。

スケジュールと研修環境を確保する

無計画に研修を進めることはないと思いますが、実際に業務デビューするまでの期間を逆算してスケジュールを立てる必要があります。研修内容によっては、専用端末や実習室、会議室といった研修を行う場所の確保も必要です。人や資料が揃っていても、場所がなければ研修はできません。スケジュールの作成や調整とあわせて、研修設備の準備も進めておくことをおすすめします。

進捗共有は「ツール」と「聞きに行く」を組み合わせる

数名で教える場合は、現在の進捗状況をこまめに共有していくことが欠かせません。決まった時間に打ち合わせを設定するのもよいですが、できれば進捗を共有できるツールを用意しておくほうが望ましいです。

ただ、実際には進捗共有がうまくいかない場面が何度もありました。

ひとつは、普段は通常業務をしている人員に研修講師を兼務してもらうケースです。本来は研修専任の人員を用意するのが理想ですが、限られた人員で対応せざるを得ない以上、業務の忙しさに追われて共有が後回しになってしまうのはやむを得ない面もあります。

もうひとつは、講師自身が「これはわざわざ共有するほどでもない」と判断してしまうケースです。こちらは講師同士のコミュニケーションの問題でもあります。

これらの問題を解消する手立てとして効果があったのは、研修を主管する担当者が講師同士のブリーフィングの場を設けて、情報連携をすることでした。実際にこれを行うようになってから、進捗共有が以前よりすんなりできるようになった経験があります。

とはいえ、ブリーフィングの時間を確保すること自体が難しい状況もあります。私自身もそういう場面がありました。そのときに行っていたのが、研修担当者同士が情報を共有できる社内ツールを利用することです。ただし、講師のタスク状況や勤務体系によっては、ツールへの入力自体が難しい講師もいます。そういうときは、主管者である私が各講師に共有事項を個別にヒアリングして、代わりに社内ツールへ入力するようにしていました。こうすることで、進捗共有の不具合を回避できていたと記憶しています。

引継ぎ事項や注意事項を確認し合うことで研修はスムーズに進みますし、教える側が同じ方向を向いて研修にあたることができます。

教える「スタンス」で生まれるバラつき

基礎から教えることを徹底する

複数名で研修する際に気をつけたいこととして、同じ資料を使うことは先ほど触れました。ここからは、研修受講者に対する教え方の「スタンス」についてです。

事前準備の内容とどちらを先に固めるべきかは人によって意見が分かれるかもしれませんが、一緒に研修を進める講師(トレーナー)と話し合いながら決めてみてください。順番が前後しても問題はありませんが、受講者(トレーニー)が混乱しないよう、トレーナー同士の認識は揃えておきましょう。

どちらを優先すべきか同じくらい悩ましいのが、「基礎から教える」ということです。当たり前すぎてピンと来ないかもしれませんが、何事も基礎があってこその応用です。人に教えるときにやりがちなのが、自分が苦労した経験を伝えたくて、つい応用編を教えてしまうことです。良かれと思っての行動でも、基礎ができる前に教えてしまうと、トレーニーは混乱します。導入時の研修では、基礎以外の応用を教えることは控えましょう。

イレギュラー事例を紹介するときは要注意

とはいえ、単純なライン作業でない限り、基礎だけで業務を回すのは現実的に難しいのも事実です。私自身、研修の中で応用を盛り込むことはあります。盛り込むのは、発生頻度が高い応用です。過去に研修を終えた新人からよく質問が挙がる項目をピックアップして、研修に組み込みます。どの項目の質問が多いかは自分一人ではわからないので、講師同士ですり合わせたり、先輩講師や現場の管理者にヒアリングしたりすれば見えてきます。

ただし、ここで気をつけたいことがあります。教え方のバラつきが実際に生まれやすいのは、「今後のために知っておいたほうがいい」と講師それぞれが個別に対応した案件を、エピソードとして研修中に紹介するときです。

こうしたエピソードは、往々にして基礎ではなく応用の枝葉の部分です。イレギュラー案件の紹介になるため、初期段階の研修では新人から「言ってることが違う」と言われることがあります。

これには受け取る側の個人差もあります。イレギュラー対応だと理解して、基本とは別に横に置いておける新人であれば、こうしたエピソード紹介も有効だと思います。ただ、研修やOJTの段階では、そこまでの判断力を求めるのは難しいケースが多いのが実情です。だからこそ、導入研修の間は「基礎から教える」ことに重きを置いたほうがよいというのが、私の考えです。

基礎から外れたら「エスカレーション」を意識づける

前述の通り、少し先のことを考えて最初から応用を教えることは避けたほうが賢明です。基礎を理解していない状態では、応用に対応することはできないからです。

基礎から外れる場面に出会ったら、わかる人に確認(エスカレーション)することを意識づけてあげましょう。最初にこの意識づけをしておくと、実際に業務に入ったときの独断での誤判断やミスを防ぐことができます。「トレーナーによって言っていることが違う」と新人から声が上がる最たる例が、応用の説明をしたときです。

業務における応用(イレギュラーなケース)は数えきれないほど発生します。導入研修の段階ではできる限り基本を中心に据え、基本から外れる内容は確認(エスカレーション)を行わせるよう研修することで、誤判断やミスの防止につながります。

まとめ

教える人によって内容にバラつきがあると、教わる側に混乱が生じます。理解度が深まらないばかりか、困ったときに誰に確認していいかわからなくなってしまいます。

教える側は、業務内容を正しく理解していることはもちろん、使用する資料や認識も揃えておく必要があります。そのためには、教え方のマニュアルやカリキュラムづくりが欠かせません。

もし教え方がバラバラだと、「Aさんには〇と教えられたが、Bさんからは△と教えられた」という状況になりがちです。何が正しいのかわからず、誰に聞けばいいのかもわからなくなり、ミスも起こりやすくなります。教えてもらった通りにやったのにミスが起きれば、モチベーションの低下や離職にもつながりかねません。

事前準備(マニュアル・スケジュール・進捗共有)と、教える側のスタンス(基礎から教える・応用の扱い方)。この両方を意識して研修に臨むことで、理解度と定着率は大きく変わってきます。せっかく仲間になってくれた人材です。可能な限り、貴重な戦力として一緒に育っていきたいものです。

それではまた!!

1対1で新人を育てる場面については、部下の育成〈OJTの進め方編〉もあわせてご覧ください。

この記事を書いた人

コールセンター業界で管理職として10年以上。100〜500名規模の複数現場で、スタッフ育成・1on1・面談・クレーム/カスタマーハラスメント対応・新規業務の立ち上げ・管理者マネジメントを経験してきました。記事は自身の現場経験をもとに、成功談だけでなく失敗談も含めて書いています。

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