クレーム対応〈初動対応編〉―最初の3分で「鎮火」か「炎上」かが決まる

コミュニケーション雑記

どーも。蔵治(Kuraji)です。

今回から3回シリーズで「クレーム対応」をテーマにお伝えします。第1回は「初動対応」です。

「クレームが発生したとき、何をすればいいのかわからない」「とにかく謝ればいいのか、説明すればいいのか判断できない」――そんな悩みを持つ方に向けた内容です。

結論から言うと、クレーム対応は最初の3分で8割が決まります。

私が今でも忘れられない、繁忙期の「プレゼント」クレーム

クレーム対応の話をするとき、私がいつも思い出す出来事があります。

ある繁忙期、対応件数が普段の何倍にも膨れ上がっていた時期のことです。あるお客様が、お世話になった方へ贈るプレゼントを、電話で注文してくださいました。「代金は振り込みで支払いたい」というご希望でした。

ところが、対応したオペレーターが支払い方法を取り違え、着払いで手続きを進めてしまったのです。結果どうなったか。お客様が心を込めて選んだ"贈り物"が、受け取る相手に「着払いで料金を請求される」形で届いてしまいました。善意のプレゼントが、まるで無理やり商品を送り付ける嫌がらせのようになってしまったのです。

これは、通信販売で最も避けなければならないミスです。お客様が怒るのは当然でした。商品の不備ではなく、「人の気持ちを踏みにじってしまった」のですから。この一件は、初動対応のすべてが問われる場面でした。これからお伝えする内容は、こうした現場での経験から学んだものです。

クレームは「感情の問題」であることを理解する

クレームを受けたとき、多くの人が最初にやってしまうことがあります。

それは「なぜそうなったかの説明をしようとする」ことです。

事実を伝えたい、誤解を解きたい――その気持ちは理解できますし、理性的な行動であると思います。しかし、クレームを入れているお客様や相手は、まだその段階にいません。つまりあなたの説明を聞ける状態ではないのです。

怒りや失望を感じているとき、人は「理解してほしい」「共感してほしい」という状態にあります。そこに説明や言い訳を持ち込むと、「話を聞いてもらえない」と受け取られ、火に油を注ぐことになります。

初動でまずやるべきことは「説明」ではなく「感情の受け止め」です。

初動対応の「3つのステップ」

ステップ①:話を遮らずに最後まで聴く

クレームが発生したら、まず相手に言い分をすべて話してもらいます。大事な点として話を聴いている途中で、こちらから説明しようとしない、反論しない、言い訳しない。

この時にすることは、「はい」「〇〇でございましたか」「〇〇の部分について、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。」「〇〇についてご不便をおかけいたしました」――相槌を打ちながら、傾聴を続けます。また、謝罪の時には相手が申し出たことすべてに対して謝罪をするのではなく、相手が不快に感じたり、納得できていないことについて謝罪をします。これを限定謝罪といいます。部分的な謝罪を用いることで、相手の感情に寄り添うことができます。

人は、最後まで話し終えると少し気持ちが落ち着きます。「ちゃんと聞いてもらえた」という感覚が、次のステップへの扉を開きます。これはコールセンターの現場で10年以上クレームに向き合ってきた中で、私が最も強く実感していることです。

ステップ②:感情に共感してから事実確認に入る

相手が自身の言い分を話し終えたら、まず感情に対して言葉を返します。

「〇〇の対応で配慮が足りておりませんでした。大変不快なお気持ちになられたことと思います。誠に申し訳ございませんでした。」

謝罪と共感を先に伝えてから、事実確認に移ります。「詳しくお聞かせいただけますか」「いつ頃のことでしょうか」と、5W1Hで状況を整理していきます。

ポイントは、謝罪と事実確認をセットにしないことです。「申し訳ありませんが、確認させてください」という言い方は、謝罪と確認が混ざって相手に「言い訳している」と取られやすい。謝罪を先に完結させてから、切り替えて確認に入る順番を守ります。

ステップ③:その場でできることとできないことを明確にする

事実が確認できたら、対応方針をはっきりと伝えます。

「本日はお話をお預かりして、回答は担当に確認のうえ、○月○日までにご連絡します。」

「できること」と「できないこと」を曖昧にせず、期限を明示します。「確認して折り返します」だけでは不十分です。「いつまでに」を必ずセットにすることで、相手の不安を取り除き、話を一度クローズできます。また、「確認が出来なかった場合でも、○月○日までにご連絡します。」という言葉を添えることで責任をもって対応してくれている印象を与えることができますのでクレーム対応として有効な手段の一つとなります。

初動でやりがちな失敗 ―「正しい説明」に走ってしまう

こうした場面で、私自身が何度もやってしまった失敗があります。それは、「正しい説明をすること」に徹してしまうことです。

ミスの経緯を正確に伝えよう、こちらの事情を分かってもらおう――そう思うあまり、お客様が話している最中に、つい説明をかぶせてしまう。これは火に油を注ぐ最悪の初動です。どれだけ内容が正しくても、話を遮られた相手は、ますますヒートアップしていきます。

経験から学んだ鉄則は、たった一つです。まず、相手に言いたいことを言いきらせること。人は、言いたいことを最後まで吐き出すと、不思議と少しずつ落ち着き、自然と解決へ向かっていきます。初動の数分間は、説明する時間ではなく、聴ききる時間なのです。

やりがちなNG行動3つ

NG①:すぐに「でも」「ただ」を使う

「おっしゃる通りです。ただ、こちらとしては――」

この「ただ」「でも」「しかし」は、相手の感情を刺激して、鎮火した感情にもう一度火をつける言葉となります。共感した直後に逆接を使うと、「結局言い訳したいんだな」と受け取られます。初動の段階では逆接ワードは封印することを意識してください。

NG②:その場で結論を出そうとする

内容を十分に確認しないまま、その場で「わかりました、対応します」と言ってしまうケース。後から「やっぱりできません」となると、二重のクレームになります。初動では「確認して対応します」と返すことが正解です。

NG③:たらい回しにする

「その件は担当が違いまして――」と即座に別の窓口に回すこと。最初に受けた人間が責任を持って一次対応することが、相手への誠意の示し方です。担当外でも「私が確認して担当からご連絡させます」と引き取る姿勢が大切です。

初動で見極める、クレームの「3つのタイプ」

もう一つ、長年の対応で身についた指針があります。クレームを言うお客様は、経験上、大きく3つのタイプに分かれます。初動でどのタイプかを見極めると、その後の対応がぶれません。

①商品・サービスに納得がいっていない方
「買ったものが期待と違った」というタイプ。謝罪と、代替商品・代替サービスの提案で、解決に向かいます。

②対応の粗相などで、感情面が納得いっていない方
先ほどのプレゼントの件のように、こちらの落ち度で気持ちを害してしまったタイプ。丁重なお詫びと、相手の感情への共感が解決の鍵です。「それはお怒りになって当然です」と、まず気持ちに寄り添います。

③とにかくクレームを言いたい方
いわゆるカスタマーハラスメントに近いタイプ。残念ながら、説明しても揚げ足を取られてしまい、建設的な解決は難しいのが実情です。必要最低限の会話と、限定的なお詫びにとどめ、相手が話し終える(終話する)のを待つ――これが、現場で疲弊しないための現実的な対応です。

(③の詳しい対処は、別記事「カスタマーハラスメント対応〈スタッフを守る編〉」で解説しています)

まとめ:初動は「鎮火」のための時間

クレーム対応の初動は、問題を解決する場ではありません。相手の感情を落ち着かせ、話し合いができる状態を作るための時間です。

話は遮らずに聴く、感情に共感する、できることとできないことを明確にする。この3ステップを守るだけで、初動対応の質は大きく変わります。

もし次回クレームが発生したときは、まず「相手の感情に寄り添って最後まで聴くこと」を意識してみてはいかがでしょうか。

それではまた!!

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