どーも。蔵治(Kuraji)です。
以前、「部下との面談」シリーズで、部下との向き合い方をお伝えしました。今回はその一歩先、「部下の育成」、なかでも日々の現場で行う OJT(仕事を通じた指導) の進め方がテーマです。
「新人がなかなか育たない」「教えているのに、同じミスを繰り返す」――そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。でも、それは部下の能力のせいではなく、「教え方」に改善の余地があるのかもしれません。
かつての職場では「仕事は見て覚えろ」が当たり前でした。しかし、今の時代にそれは通用しません。コールセンターで10年以上、たくさんの新人を育ててきた経験から、人が育つOJTの進め方をお伝えします。

なぜ「見て覚えろ」では育たないのか
背中を見せるだけでは伝わらない
「先輩の背中を見て学べ」という育て方は、一見かっこよく聞こえます。でも、これは教える側が「教える責任」を放棄しているとも言えます。
何を・どこを・どう見ればいいのか。それを示さないまま「見て覚えろ」と言われても、新人は何を学べばいいのか分かりません。結果、覚えるまでに時間がかかり、自己流のクセがつき、本人も「自分はダメだ」と自信を失ってしまいます。
「できる人」が「教えられる人」とは限らない
もう一つの落とし穴が、「仕事ができる人=教え上手」とは限らない、ということです。
ベテランほど、作業が体に染みついていて「なぜそうするのか」を言葉にできなくなりがちです。「これはこうするもの」と感覚で済ませてしまう。教えるためには、自分の中で当たり前になっている手順を、もう一度言葉に「分解」する作業が必要なのです。

人が育つOJTの「型」
①やってみせる → ②説明する → ③やらせてみる → ④振り返る
効果的なOJTには、シンプルな4ステップの型があります。
①やってみせる:まず手本を見せる
②説明する:「なぜそうするのか」を言葉で伝える
③やらせてみる:実際に本人にやってもらう
④振り返る:良かった点と改善点をフィードバックする
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」――これは山本五十六の有名な言葉ですが、OJTの本質を見事に言い表しています。見せて終わり、説明して終わりではなく、やらせて振り返るところまでが1セットです。
一番大切なのは「④振り返る」
この4ステップで、つい省略されがちなのが最後の「振り返り」です。
「やらせっぱなし」では、本人は自分のできを判断できません。「ここが良かったね」「次はここを意識してみよう」と具体的に伝えることで、はじめて学びが定着します。できたことをしっかり認める。これが、次への意欲につながります。

育成でつまずかないための「心構え」
一度に多くを教えない
熱心な指導者ほど、「あれもこれも」と一度にたくさん教えようとします。でも、人が一度に覚えられる量には限りがあります。
詰め込みすぎると、結局どれも身につきません。「今日はこれだけ覚えよう」と、教える量をしぼること。一歩ずつ、確実にできることを増やしていくほうが、遠回りなようで一番の近道です。
できないのは「本人のせい」と決めつけない
部下が思うように育たないとき、つい「本人のやる気の問題」と考えたくなります。でも、その前に一度立ち止まってみてください。
「自分の説明は分かりやすかったか」「やらせてみる機会を十分に与えたか」。教え方を振り返ることで、改善できる点はたいてい見つかります。育成は、教える側と教わる側の二人三脚。相手のせいにした瞬間、成長は止まってしまいます。
まとめ
OJTは、「見て覚えろ」ではなく、意図を持って設計するものです。
①「背中を見せる」だけでは伝わらない。手順を言葉に分解する
②「やってみせる→説明→やらせる→振り返る」の4ステップで教える
③一度に多くを教えず、できない原因を相手だけのせいにしない
部下が育つということは、あなたのチームの力が底上げされるということ。少し手間はかかりますが、丁寧なOJTは必ずチーム全体の財産になります。まずは「やらせて、振り返る」ところまでを意識することから始めてみてください。
また、新人の人数が多い場合などは、自分以外の複数名で研修やOJTを進めるケースもあると思います。この場合は、上記以外に研修の進め方の注意点があります。詳しくはコミュニケーション雑記の「複数名の講師で研修する際の注意点①・②」で紹介していますので、もし複数名で研修講師をする場合は、あわせて読んでいただけるとスムーズな研修実施につながると思います。

それではまた!!


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