どーも。蔵治(Kuraji)です。
以前、「部下との面談」シリーズで、評価や目標を伝える面談の進め方をお伝えしました。今回はその仲間ともいえる「1on1ミーティング」がテーマです。
近年、多くの企業で取り入れられている1on1。でも、いざ始めてみると「何を話せばいいか分からない」「ただの雑談で終わってしまう」「気まずい沈黙が続く」――そんな悩みをよく耳にします。
1on1は、やり方次第で部下の成長を大きく後押しする時間にも、ただの形式的な時間にもなります。コールセンターで10年以上、多くの部下と定期的に向き合ってきた経験から、1on1を「意味のある時間」にするための進め方をお伝えします。

そもそも1on1とは何か
面談との違いは「主役が誰か」
まず押さえておきたいのが、1on1と通常の面談は目的が違う、ということです。
評価面談や目標設定面談は、どちらかというと「会社や上司が伝える」場です。一方、1on1の主役は部下。上司が話を聞き、部下の成長や悩みに寄り添うための時間です。「自分が話す場」ではなく「部下のための場」と考えることが、1on1の出発点になります。
「ただの雑談」と「1on1」の境界線
「1on1って、結局ただの雑談では?」と感じる方もいるかもしれません。確かに、雑談的な雰囲気は大切です。でも、両者には決定的な違いがあります。
それは、「部下の成長や状態に意識が向いているかどうか」です。世間話で和ませるのは入り口としてOK。そこから「最近どう?」「困っていることはない?」と、部下自身に光を当てていく。この意識があるかどうかで、同じ時間がただの雑談にも、価値ある1on1にもなります。

1on1を有意義にする「3つのポイント」
ポイント①話すのは部下「7割」、上司「3割」
1on1でありがちな失敗が、上司ばかりが話してしまうことです。気づけば説教やアドバイスの時間になっている、というのはよくある光景です。
意識したいのは「部下7割・上司3割」のバランス。上司の役割は、話すことよりも「引き出すこと」です。以前お伝えした傾聴のスキルが、ここでも大いに役立ちます。部下が安心して話せるよう、聞き役に徹しましょう。
ポイント②アドバイスより「問いかけ」
部下が悩みを口にすると、つい「こうすればいい」と答えを出したくなります。でも、すぐに答えを与えると、部下は「考える機会」を失ってしまいます。
おすすめは、答えではなく「問い」を返すこと。「あなたはどうしたいの?」「何が一番ひっかかっている?」と問いかけることで、部下は自分の中の思考を整理して、自分なりの答えにたどり着きます。これが、自分で考えて動ける部下を育てます。
「あなたはどうすればよいと考える?」と返した実際の場面
実際にあったやりとりをご紹介します。
設定した目標の達成方法について話していたとき、部下から「自分はどうすればよいか」と質問がありました。答えを求められている場面です。
ここで私は、「あなたはどうすればよいと考えるか?」と投げかけ返しました。すぐに答えを渡さず、本人の中から回答を引き出すためです。
ただし、これには続きがあります。部下が言ってきた内容が明らかに実行できないものだった場合は、そのまま進めさせません。そこにどんなリスクがあるかを提示して、実行可能な答えにたどり着けるように導きます。
問いかけは「投げっぱなし」では機能しません。本人に考えさせつつ、現実的な着地点まで一緒に歩く――このバランスが大切だと感じています。
そして、これは部下だけの話ではありませんでした。部下の成長を促そうと工夫することが、自分自身のマネジメント能力の向上にもつながった――これは、やってみて初めて分かったことです。
ポイント③その場で終わらせず「次」につなげる
1on1は、一度きりで完結するものではありません。話して終わり、では「やりっぱなし」になってしまいます。
「次回までにこれを試してみよう」と小さな約束をして、次の1on1でその結果を一緒に振り返る。この積み重ねが、部下の中に「ちゃんと見てもらえている」という信頼を育てます。継続してこそ、1on1は力を発揮します。

1on1でやってはいけないこと
「詰問」になってしまう
部下のためを思っていても、問いかけが「なぜできなかったの?」「どうするつもり?」と続くと、部下は責められているように感じてしまいます。
同じ問いでも、「どうすれば次はうまくいきそう?」と未来に向けた聞き方にすると、印象はまったく変わります。1on1は評価や追及の場ではありません。部下が前を向けるような問いかけを心がけましょう。
なぜ詰問になってしまうのか ―私が陥ったパターン
「詰問にならないように」と頭で分かっていても、実際にはやってしまいます。私が陥ったパターンを、正直にお伝えします。
パターン①:相手が質問を理解していないのに、言い方だけ変えて聞き直す
問いかけに対して部下が答えられないとき、私は言い方を変えて聞き直していました。でも、そもそも相手が「何を聞かれているか」を理解していない状態だと、言い方を変えるだけでは伝わりません。結果、一方的に問いかけ続ける形になり、詰問になってしまいます。
パターン②:求めていた答えでなかったとき、何度も問い直す
こちらが期待していた答えと違ったとき、つい何度も問いかけてしまう。これも同じ結末になります。部下からすれば「正解を当てるまで解放されない」状態です。
【私の解決方法】
無回答だったり、見当違いの回答が返ってきたときは、こうするようにしました。
別の言い方で伝え直したうえで、「今の質問で分かりにくいところはない?」と確認する。
質問を変え続けるのではなく、質問そのものが伝わっているかを確かめる。これだけで、詰問になる場面がぐっと減りました。
ただし、一点だけ注意していることがあります。答えを導くのは良いが、誘導はしないということです。こちらが用意した結論に誘い込んでしまっては、本人が考えた答えになりません。ここの線引きは、今でも意識しています。
予定をすぐにキャンセルする
「忙しいから今日はナシで」と、1on1を後回しにしていませんか? 業務が立て込むと、つい優先順位を下げたくなる気持ちは分かります。
でも、部下からすると「自分との時間は軽く扱われている」と感じてしまいます。短時間でもいいので、できるだけ予定通り行うこと。「あなたとの時間を大切にしている」という姿勢が、何よりの信頼につながります。そして、あなた自身のタイムマネジメント能力の向上にもつながります。
私がキャンセルしそうになった、正直な場面
偉そうに書いていますが、私自身、キャンセルしそうになったことは何度もあります。
実際にリスケせざるを得なかったのは、突発的なトラブル対応が入ったときです。これは仕方がありません。
問題は、キャンセル「しそうになった」場面の方です。私のケースを正直に書くと、マストではないけれど突発で発生したタスクがあったとき、そちらを優先したくなることがあります。そして、そういうときに限って――面談相手が忙しそうにしていると、それを理由に使いそうになるのです。「相手も忙しそうだから、今日はやめておこう」と。
でもこれは、自分のタスクを優先することを正当化しているだけでした。
そこで私は、面談の予定が入っている日は、それを優先順位の第一位に据えると決めました。最初からそう決めておけば、迷う余地がありません。
もう一つ、大事なことがあります。予定を事前に伝えている以上、相手もその時間に合わせて自分の仕事を調整してくれているということです。それを一方的に取り消さないこと自体が、信頼につながっていくのだと考えています。
まとめ
1on1は、進め方ひとつで「部下の成長を支える時間」に変わります。
①主役は部下。話すのは部下7割・上司3割
②アドバイスより「問いかけ」で考える力を引き出す
③小さな約束で「次」につなげ、予定を大切にする
特別なテクニックよりも、「部下のための時間」という意識を持つこと。それだけで、1on1はぐっと意味のあるものになります。次の1on1から、まずは「聞く7割」を意識してみてはいかがでしょうか。
なお、評価や目標を伝える場面については「部下との面談」シリーズでも詳しく触れていますので、あわせて読んでいただけると、部下との対話により自信が持てるはずです。

それではまた!!

