聞く力のブラッシュアップ〈傾聴スキル編〉―「話しやすい人」になるための聴き方

ブラッシュアップ雑記

どーも。蔵治(Kuraji)です。

ブラッシュアップ雑記の第7回は「聞く力」がテーマです。

「コミュニケーション力を上げたい」と思うと、多くの人は「うまく話す方法」を学ぼうとします。でも、本当に信頼される人は、話し上手よりも「聴き上手」であることが多いです。

コールセンターで10年以上、お客様の声を聴き、部下の相談に乗ってきた経験から断言できます。「この人は話を聴いてくれる」と思われる人のまわりには、自然と情報と人が集まってきます。今回は、相手が「話しやすい」と感じる聴き方のコツをお伝えします。

なぜ「聴く力」が信頼を生むのか

人は「わかってもらえた」だけで満たされる

人が誰かに話をするとき、求めているのは必ずしも「解決策」ではありません。多くの場合、「自分の気持ちをわかってほしい」という思いが根っこにあります。

クレーム対応でも部下の相談でも、まず相手の話をしっかり聴き、「そう感じていたんですね」と受けとめるだけで、相手の表情や口調が和らぐことがよくあります。アドバイスより先に、「わかってもらえた」という安心感を届けること。これが信頼関係の土台になります。

「聞く」と「聴く」は違う

同じ「きく」でも、「聞く」と「聴く」はまったく別物です。

「聞く」は、音として耳に入ってくる受け身の状態。一方「聴く」は、相手に意識を向け、心を込めて耳を傾ける能動的な行為です。スマホを見ながらの生返事は「聞く」、相手のほうに体を向けて頷きながら受けとめるのが「聴く」。この差が、相手の「話しやすさ」を大きく左右します。

今日からできる傾聴の「3つの基本」

基本①あいづちとうなずきで「聴いてるよ」を伝える

傾聴の第一歩は、「ちゃんと聴いていますよ」というサインを送ることです。

「うんうん」「なるほど」といったあいづちや、軽くうなずく動作。これがあるだけで、話し手は安心して話を続けられます。逆に、無反応で聞かれると、人は「興味がないのかな」「聞こえていないのかな」と感じて話す気が失せてしまいます。大げさにリアクションをする必要はありませんが、相手の発言に対しては適度な反応を意識して返しましょう。

基本②話を「奪わない」

聴き上手になるうえで一番のハードルが、「自分が話したい欲」をこらえることです。

相手の話の途中で「それわかる!私もね・・・」と自分の話にすり替えてしまう。もしくは「それは○○ということですか?だったら・・・」と途中で話をはじめてしまう。いずれも良かれと思ってやりがちですが、これは相手の話を奪う行為です。相手が話し終えるまで、ぐっとこらえて最後まで聴く。自分の番は、相手が話しきってからでも遅くありません。

推察して話に割り込んでしまった、私の失敗

正直な失敗談があります。

相手の話を整理しながら聴いている途中、内容を先回りして推察し、相手が話しきる前にアドバイスを始めてしまったことがありました。結果、「言いたいことはそうではない」と言われてしまったのです。

ここで改めたのは、推察することそのものをいったんやめることでした。まずは傾聴に徹し、話を整理することだけに集中する。これによって、相手の話を奪うことはなくなりました。

ただ、これには副作用もありました。適切な道筋は、相手が話し終えてから探し始めることになるため、会話にテンポが生まれにくい。面談の時間が長くなり、タイムオーバーになることもありました。

基本③オウム返しで気持ちを受けとめる

相手の言葉を、そのまま繰り返すだけの「オウム返し」は、シンプルですが強力なテクニックです。

「不安なんです」と言われたら「不安なんですね」と返す。たったこれだけで、相手は「受けとめてもらえた」と感じます。クレーム対応の記事でも触れましたが、この「オウム返し」は、感情が高ぶった相手を落ち着かせるときにも効果を発揮します。そのほかに、不安を抱いて相談に来た相手に対しても、「あなたの話を聴いていますよ」という安心感をあたえる効果があります。

オウム返しが会話に「テンポ」を生む

オウム返しには、もう一つ効果があると感じています。それは会話にテンポが生まれることです。

相手が話し終えたあと、間を置かずに次の言葉が出てくるまで、少し沈黙が続くことがあります。ここでオウム返しを挟むと、相手は「聴いてもらえている」と感じ、続きを話しやすくなる印象があります。沈黙のあとに相手が話し出すのを待つだけの状態よりも、会話のリズムが良くなっていきます。

一歩進んだ「聴き方」のコツ

沈黙を怖がらない

会話の中で訪れる「沈黙」を、つい埋めたくなる人は多いものです。でも、沈黙は決して悪いものではありません。

相手が考えをまとめていたり、言葉を探していたりする時間かもしれません。そこで慌てて話しかけると、相手の思考をさえぎってしまいます。相手が次の言葉を発するまで、落ち着いて待つ。この「待てる余裕」も、立派な傾聴スキルのひとつです。

「評価」ではなく「興味」で聴く

最後に、聴くときの心構えで大切なのが、「評価しながら聴かない」ことです。

「それは違うな」「考えが甘いな」とジャッジしながら聴くと、その姿勢は表情や態度に必ずにじみ出ます。すると相手は心を閉ざしてしまう。そうではなく、「この人はどう感じたんだろう」と興味を持って聴く。評価を脇に置くだけで、相手はぐっと話しやすくなります。

聴きながら推察できるようになるまで

先ほどお伝えした「推察をやめた」経験には、実は続きがあります。

話を奪わず、最後まで聴き切ることを徹底していくうちに、あるとき変化が起きました。相手の話を整理しながら推察していても、それを口に出さず、相手が言い終えたタイミングに合わせて、その人向けのアドバイスが自分の中で仕上がっているようになったのです。

こうなると、面談時間そのものをコントロールできるようになります。会話のテンポも、自分の意志で調整しやすくなりました。

つまり、傾聴には段階があります。まず「奪わず聴き切る」を徹底する。それができるようになって初めて、「聴きながら考える」という次の段階に進める。最初から両立させようとすると、結局は相手の話を奪ってしまいます。急がば回れ、というのはこういうことなのだと思います。

まとめ

聞く力は、特別な才能ではなく、意識すれば誰でも伸ばせるスキルです。

①「聞く」ではなく、心を向けて「聴く」
②あいづち・話を奪わない・オウム返しの3つを意識する
③沈黙を怖がらず、評価せず、興味を持って聴く

話し上手を目指す前に、まず聴き上手を目指す。それだけで、あなたは「話しやすい人」「信頼できる人」へと近づいていきます。まずは次の会話から、相手の話を最後まで聴くことを意識してみてはいかがでしょうか。

それではまた!!

この記事を書いた人

コールセンター業界で管理職として10年以上。100〜500名規模の複数現場で、スタッフ育成・1on1・面談・クレーム/カスタマーハラスメント対応・新規業務の立ち上げ・管理者マネジメントを経験してきました。記事は自身の現場経験をもとに、成功談だけでなく失敗談も含めて書いています。

蔵治 英幸をフォローする
ブラッシュアップ雑記
蔵治 英幸をフォローする
蔵治(くらじ)の手習い帳
タイトルとURLをコピーしました